疫病禍で人は外に出なくなりサイバー犯罪が急増。対して物理的な交流が減って、一般犯罪は旧式回転式拳銃を提げた警官の数に比べると少なくなった。
警官も暇になったのでかろうじて残った飲食店の防疫対策を巡視するようになった。
とある場末の中華料理屋は潔癖症じみた対策基準を守れなくなってきた。どこの中華の厨房に遠心分離器なんてものを置くんだろうか。厨房は料理をする場所で、いかなるワクチンの製剤にも、いかなるアンプルの分析にも向いていない。
馴染みの警官に賄賂、といっても餃子がタダになるくらいのことをして、野良ネズミを飼っている厨房のことを見過ごしてもらっている。