それは「今の技術では、湿度を加味した予報が出来ない」からである。
昨日13日と先日10日と立て続けに大雪予報が外れた。10日は東京で若干積もったし千葉水戸で5cm以上積もったからまだマシだったが、13日は東京で積雪無しと大ハズレである。
一方、1月6日の10cmの大雪も外している。積雪した当日朝8時の時点で「積もってもうっすら」と気象庁や民間気象会社(ウェザーニューズなど)が口をそろえていたが、結果はああである。
3回のハズレすべてに言えることとして、「湿度を加味せずに雪の予報を出していた」点が挙げられる。
4年前に東京で23cm積雪した際の降水量は24mmと、今月10日(27mm)よりも実は少ない。
4年前はそれだけ差がつくほど寒かったかというと、降水開始前の気温が4度台半ばだったので、この点も今月10日、13日と差はない。
じゃあ何が違っていたかというと、「降水開始前の湿度」であった。これが10%以上差があったのだ。2018年1月22日は53%、今年2月10日は65%。1月6日に至っては48%。(いずれも東京北の丸のアメダス)
湿度が低い状態で降水が始まると何が起きるかというと、「雨雪が空気で蒸発し、その際に発生する気化熱で低層上空の気温低下」である。
湿度が低いとこれがかなりのボリュームで起きるため、気温は一気に下がる。一方で湿度が高いと当然ながら蒸発が抑えられるため気温はあまり下がらない。
また、湿度が低いと高い気温でも雪になりやすい。「雨雪判別表」でググるとよくわかるが、湿度が55%だと気温5度でも雪になるが、95%だと気温0.5度でもみぞれである。
4年前は湿度が低い状態で降水が始まったため、降雪には不利とされる午前中の降り出しであったにもかかわらず気温はぐんぐん低下して大雪になった。
今年の2月10日は湿度が高い状態で降水が始まったため、あまり気温が下がらないまま湿度がほぼ100%に達し、みぞれが続いて積雪が少なかった。
13日に至っては元の予報が「昼間は雨で夕方から雪」であったが、昼間の雨で湿度がほぼ100%になったため、夕方を過ぎても一向に雪に変わらず大ハズレとなった。
雪国の雪は「気温・降水量・風向・上空寒気」の組み合わせで予報されるが、関東地方の雪はそれに加えて「湿度」も主役クラスで影響する。
従って、湿度に関する予報が出来れば予報の精度が上がるのだが、現状の技術ではそれが出来ない。
だから関東地方の雪予報はあまり当たらない。「気象庁が大雪に関する情報を出さなければ大雪」「横浜地方気象台が出す大雪注意報はスカフラグ」と言われるくらいだ。
湿度に関する予報精度を上げない限り、ハズれる雪予報は減らないだろう。