先週末、父親の納骨をしてきた。雪が続いたので天候を心配していたが、幸い晴れて、少し暖かく感じるくらいだった。
お寺の講堂で法要をした後、ご住職と俺たち家族は骨壷を持ってお墓へ歩いていった。骨壷は意外と軽かったが、少し雪が残っているため落とさないよう慎重に歩いた。
お墓に着き、ご住職がお経をあげ始めた。するとその時、あれだけ晴れていたのに急に天気が悪くなり、雨が降り始めた。しかも結構な豪雨だ。俺は慌てて折りたたみ傘を出してご住職に傘をさした。妻も母も折りたたみ傘を持っていたため各自傘をさした。
「急に雨が降るなんて…」
俺がそうこぼすと、ご住職はこう尋ねた。
「お父様は頑固な人だったんじゃないですか?」
「!!」
確かにその通りだった。肝臓を悪くして医者に止められているのにお酒を飲み、肺がんになっているのにタバコを吸っていた。誰が止めても聞かなかった。今まさに、父親はお墓に入るのを嫌がって雨を降らしているのではないか?いやしかし、そんなことがあり得るのか?
雨は止みそうもなく、降り続ける。仕方ないので、傘をさしながらお経を唱えてもらった。
そしてお墓の蓋を開け、骨壷をそっと入れた。するとどうだろう、さっきまであんなに降っていた雨がさっと止み、晴れ間が見えてきたのだ。
「晴れてきましたね」
俺がそう言うと、
「きっとお墓の中に入ったので、ホッとされたのでしょう」
とご住職は言った。
いやいや、まさか、そんなことあるのか?俺はあまり信心深い方ではないし、お経も納骨も儀式的なものだと思っていた。しかし確かに納骨直前に雨が降り、納骨すると雨が止んだ。ご住職も父が頑固なことを言い当てた。それらが全て偶然であると片付けることもできる。しかしこの一連の出来事によって、そういう世界もあるのではないかと少し感じた。
今まで俺を育ててくれた父。そして闘病生活に苦しんだ父。本当に大変だったと思う。ありがとう。今後はゆっくりあの世で休んでもらいたい。