事故死なのか自殺なのかは分からない、金曜日の残業中に商品倉庫のリフトから転落、病院に運ばれたものの助からなかった。
「皆さん、暑いと集中力が無くなり、ふとした切っ掛けで大事故に繋がります、気を付けましょう」
そう言って締め括られた朝礼は、故人を思うものではなく、厄介事を起こしてくれるなという釘を刺すためのものに思えた。
しばらく警察やスーツを着た真面目そうな人が度々会社を訪れていたが、しばらくすると落ち着き、リフトの周りに貼り紙とひどく乱雑に柵が作られていた。
彼の死はニュースにも新聞にもならず、葬式は親族だけで行われ、事務所にも落ち着きが戻ったようだった。
僕だけが「俺はもうダメかもしれない」と苦しそうに笑った同僚の顔を思い出しては、いつまでも既読にならない「飲みにでも行こうぜ」というLineの履歴を眺めて、一人拳を握り締めている。