2021-08-01

同僚が死んだ

事故死なのか自殺なのかは分からない、金曜日残業中に商品倉庫リフトから転落、病院に運ばれたものの助からなかった。

月曜日、朝礼で訃報が告げられる。

「皆さん、暑い集中力が無くなり、ふとした切っ掛けで大事故に繋がります、気を付けましょう」

そう言って締め括られた朝礼は、故人を思うものではなく、厄介事を起こしてくれるなという釘を刺すためのものに思えた。

しばらく警察スーツを着た真面目そうな人が度々会社を訪れていたが、しばらくすると落ち着き、リフトの周りに貼り紙とひどく乱雑に柵が作られていた。

彼の死はニュースにも新聞にもならず、葬式親族だけで行われ、事務所にも落ち着きが戻ったようだった。

僕だけが「俺はもうダメかもしれない」と苦しそうに笑った同僚の顔を思い出しては、いつまでも既読にならない「飲みにでも行こうぜ」というLine履歴を眺めて、一人拳を握り締めている。

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