家が建てられなくなるのかな。
そうそう、私は呪いというオカルトチックなものをひとつだけ信じている。
それが「遺跡」だ。
遺跡は過去の人間が、開発を妨げるという形で未来に残す呪いだと思う。
感傷的に言うなら、古くに征服された人々がその発展を恨む感情の具象化こそ遺跡だ、とでも言えるだろうか。
私が住んでいた街は、大都市から2~3駅の距離にありながら、遺跡群で開発が妨げられたがために田んぼだらけだった。
かといって、その遺跡群は観光資源になるほど有名でもなかった。
もちろん、それによって得られる歴史的知見も、住民でない誰かにはあるのだろう。
しかし、住民のひとりとしては、それを維持管理するコストに見合うほどの何かは感じなかったのだ。
そして、遺跡が呪いだというのは、それを根本的に解決することができないからだ。
掘らなければ、いつまで経っても遺跡は眠り続ける。いつまでも開発できない。
そんなわけで、歴史というものにも「賢者は歴史に学ぶ」みたいな明るいイメージを持てない。