己の行き遅れ甚だしく、すでに人生のステージに決定的な差が見えたががゆえ、みすぼらしいプライドから幼馴染と距離を置いている。
正直未だに声かけてきてくれるのか何故なのか不思議ではあったが、ある時ふと俺の人生の中で一番楽しかったあの幼少時代を思い出し
やや飛躍して同じように過去を回顧する幼馴染の姿を思い浮かべ、最終的にその心理状況を邪推してしまった。
つまり、彼奴も必ずしも順風満帆ではなく、俺の心理状況と似たところがあるならば、人生で最もストレスなく無邪気でいられた幼少時代が浮かんできてしまうくらい、折れそうなときもあるのでは。
あの無敵だった時間を共有しあえる人間を求める瞬間があるのでは。
いや邪推にすぎる。一人合点もいいところだ。そもそも幼少期を思い出すシチュエーションが限定的すぎる、これは過去の栄光にすがるデキない人間の思い出し方だ。
しかしこの瞬間幼馴染に妙な共感を覚えたことは確かだ。なんて独りよがりな共感だろう。言ったら俺の妄想癖は笑われるに違いない。
でも連絡はできない。それは現状の劣等感を覆すほどの共感にはならなかったから。
そのうち愛想をつかされると思う。ごめん。