大学生の時、友人が書店で購入したばかりの、新品の参考書を開く前にカバーを取り去り、捨てているのを見て驚愕した。
なんでそんなことするのかと尋ねると「だって邪魔だし」とのこと。
確かに、参考書を広げるときにカバーって何かとうっとうしいし、実用上何も困らない訳で、一理あるかもしれない。
見た目は綺麗だが、それだけである。
彼にとってカバーとは何の価値もない、バナナの皮と同じようなものなのだとその時理解した。
思えば彼は、講義中はつまらないからと寝ているが、テスト前だけささっと勉強してそれなりの得点をたたき出すような人間だった。
何かと非効率で、要領の悪い私はたまに彼のことを思い出す。
俺も表紙が気にいったもの以外は捨てるな。