小さな可能性を秘めた者たちが、オリジナルの素体を持ち寄っていた牧歌的な時代は完全に終わった。
全ての可処分時間は、企業系Vtuber達の奪い合うパイとなった。
強い魂……昔からの生主、転生者、クラスの人気者、そういった者たちだけが生き残る。
強いボディ……プロのデザイン、豊富な人月、繰り返される会議、個人制作のモデルなんて時代遅れ。
インターネットが始まってから、個人HPが次々に衰退するまでが高速で再現されている。
太陽の下で埋もれていた輝きにふと人々が気づく静かな夜、そんな世界は一瞬で消えた。
山師達のサーチライトが、彩るネオンが、真昼よりも煌めく世界が、昨日までの暗闇を光の海へと変えた。
光を恐れ夜の中を生きるものよ、見えない星を探すものよ、この地を離れよう。
再び、旅が始まるのだ。
君たちが愛した空き地ではない
夜の住人というほどでも無いが薄明薄暮の住人としても、眩しくなりすぎた