例えば、独特なフォントのホーロー看板だとか、つまみでチャンネルを変えるようなテレビだとか。そういう昭和レトロを感じる事物を見ると、
私はそれを「ホラー」だと認識してしまって、お化け屋敷と同じく、早く逃げ出してそれを視界から消し去りたい気分になる。
なんだか、安全な現実を包んでいる柔らかい膜が剥がされて、その現実が隠し持つ惨状をあらわにされたような気分になるのだ。
そういう事物を見てると、なんで洗練されてないの?こんなに使いにくいの?という疑問から、現在普通に存在している事物が絶対的ではなく、
またそういう訳のわからない形態に逆戻ったりするんじゃないかと不安な気持ちになるのだ。朝起きたら、ああいう物だらけになってたら困るというか。
「ホラー」と書いたが、それはまさに、ゾンビ映画を見て、夜眠れなくなるのと同じ気分なのだ。現在が昭和ノスタルジーな事物に襲撃されるような気分。
私の言ってることがなんとなくピンと来てない人は、昔のCMとか見るとわかってもらえると思うにゅ。
例えば、「十仁病院」や「はぎや整形」のCMとか。もしくは子供の顔が描かれた肝油ドロップの缶とかでもいい。ああいう不安を、昭和レトロな事物から感じるのだ。