2020-02-27

午前7時、憂鬱な1日が始まった。制服に袖を通し、身だしなみを整える。食卓に並べられた朝食は今日も湯気を立てているが、手をつける気にはなれない。このあとに起こることを考えるだけで吐き気がし、冷や汗が出る。心拍数は上がり、惨めで、恥ずかしく、母の顔が見られない。しか学校を休むわけには行かない。もうすぐ期末試験だ。

あいつは毎日あらわれる。いつもの電車に同じ駅から乗り込む。時間をずらしても待ち伏せされる。そもそも学校に行くのにずらせる時間なんてたかが知れている。体を触られるようになって、もう半年ほどになる。

電車で股の間を触られる」なんて、恥ずかしくて親にも友達にも先生にも言えない。自意識過剰かもしれないけど、被害者ヅラとか、自慢とか思われそうで怖い。声を出せない自分の弱さも気持ち悪い。でも怖い。みんな当たり前のように学校に来て、笑って、帰っていく。それと比べて、自分はすごく汚い。知らない誰かに毎日体を触られている。

今日も一人、ホーム死刑を待っている。あの人はきっと今もどこかから僕を見ている。次の急行でぜんぶ終わらせたい。

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