父の言葉はいつもこうだ、「お父さんは○○が自分で考えて決めたことだったらなんでも応援してあげるから、自分で考えて決めて良いんだよ」
若い時はそれをきいて、いや答えになってないやん、と思っていた。
朝ごはんを食べなくてはいけない、という母の信念はいささかきついものだった。
祖父母が同居したいたせいもあり、ご飯に味噌汁、様々なおかずがならんだ朝食の席は、自分にとってそれなりの苦痛であった。
学区の端から通学していたためにすごく早起きして朝食を強いられていた自分が食事を終えて向かう先は、まだ布団で寝ている父のところであった。
食事したあとに吐き気がこみ上げたらいつも走って両親の寝室に向かい、父が寝ている布団の匂いを深く吸い込むと、不思議と吐き気がおさまるのであった。
そんなことはもう長い間忘れていたことだったのに
先日、いつも身だしなみに人一倍気を使う恋人が仕事で徹夜して帰って来た時 服に埋めた鼻が父の布団と同じ香りを嗅ぎ取って涙が出た。
おとうさんのにおいだ。