2019-04-30

「耳障りが良い」

最近、「耳障りが良い」という表現を目にする。

これはおそらく、日本語不自由な人が「耳障り」と「聞こえがいい」を混同したものだと思う。

この表現を見かけるたびに、不快であるという意味の「耳障り」が「良い」とはどういうことか。マゾなのか、と思っていた。

ところで、youtubeなどでASMRというジャンル流行っている。

ASMRの定義を調べたわけではないので間違っているかもしれないが、ASMR動画とは、バイノーラル録音を用いて耳元である種の音を鳴らすことで心地よくなるものだ。

ある種の音というのは、例えば耳かきの音であったり、咀嚼音であったり、水音であったりする(他にもある)。

人間の頭、あるいは耳の形をしたマイクに対して耳かきを行った音を録音し、その音声をイヤフォンヘッドフォンを用いて聞くと、耳元でガリガリとした音が聞こえ、あたかも実際に耳かきをされているような気分になる。

もちろん、実際には耳元でガリガリという音がしているだけである。そのガリガリとした音だけで、我々は耳かきをされているときの妙な緊張感と恍惚を味わうことができるのである

立ち止まって考えてみれば、ガリガリという音は雑音であるスピーカーからそんな音が流れてきたら、ふつう不快に思う。つまり、「耳障り」に思う。にもかかわらずASMRの耳かき動画は心地よい。

なるほどこれが「耳障りが良い」ということか、と妙に納得した連休の午後であった。

  • 耳障り=耳触り という勘違いと、「触り心地が良い」からレンソウでこの誤用につながっている?

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