増田を拾った。
とてもブサイクだった。いや、ブサイクという範疇には収まらない。美醜という物差しは使えない。もっとおぞましい何かだ。皮膚は茶色の粘液で覆われている。全身ぶよぶよだ。ぐじゅぐじゅでねちょねちょだ。下水で腐敗した死体の臭いがする。おまけに髪も薄い。ハゲだ。手足はない。ガスが溜まっているのか、体の所々が不自然に膨らんでいる。目玉は今にも垂れ落ちそうである。視線は虚空の蝶を追いかけている。大きく裂かれた割れ目がおそらく口であり、そこからは声ではなく、常軌を逸した臭いのガスが噴出される。小動物なら死に至るだろう。耳も鼻もなく落ち窪んでいる。その奥から得体の知れない狂気がときおり顔を覗かせる。
むごたらしい肉塊である。材料をケチって失敗した人体錬成のようである。しかし、これは偶然生まれるような増田ではない。明確な悪意がある。人類への憎悪であり、生への冒涜である。