私の推しは美しい。推しなんだからフィルターかかってそりゃ美しいのは当たり前だろって感じもするけど、それにしたって美しい。
見ていると不安な気持ちになる。芸能人なんだな、って思う。美を売り物にしているんだ。
その美で、周りをねじ伏せているような人だ。それが私をひどく不安定な気持ちにさせる。
度を超えた美しさというのは、殆ど呪いのようなものだと思う。呪いとか、背負ってしまった業とか、そういうもの。
推しが以前週刊誌に撮られたことがある。ごく個人的なことを暴露するような内容の記事(読んではいないけどそうらしい)に、とても悲しい気持ちになった。
推しも悲しんでいるんだろうな、と思ったら本当に苦しかった。心が裂かれるような思いがした。
自由に恋してほしい。自由に生きてほしい。誰かを愛しても愛さなくても、心のままにいてほしい。
推しのセクシャリティや、人間性や、考え方を誰も暴こうとしないでほしい。
そういうものは普通、白日のもとに晒されていいものじゃない。皆が心の奥に秘めている、脆くて敏感なもの。
それをカメラの前に引きずり出して、ズタズタに切り刻むようなことをされないでほしい。
でも推しは芸能人で、自分自身を切り売りしている。推しの私生活をみんなが知りたがる。
推しは呪われている。美しさの呪いにかかっている。そんなに美しくなければ、推しはごく普通に生きられたのに、と思う。