勉強はすればするほど知識が増える。知識は多ければ多い方がいい。よって勉強はすればするほどいい。美しい三段論法である。日々このような理屈のインプットとアウトプットに明け暮れるのが法科大学院生という死に物だ。もちろん現実の法的推論はこんなシンプルなものではないが、それはここで言いたいことではない。
問題は、もう一時間の勉強でどれだけの効果が得られるのかという視点がこの論法に盛り込まれていないところにある。勉強すればするほど知識が増えるんだもの、そうしなくちゃいけない。人であるソクラテスは死ぬのだ。こうして図書館には六法が山をなし、登山客の汗と涙で雲が生まれる。心のバランスを崩した法科大学院生は謎の投書を繰り返し、戯れに人の本に牛乳をぶっかけてみる。
どこに無駄があるかは明白だろう。