ちょっと前にテレビで印度カリー子とかいうカレーオタクのお姉さんが紹介されてた。若くて結構可愛かった。俺もカレーが好きだったのでカリー子の存在は知っていたし番組を楽しく見ていたんだが、カリー子は行きつけの店でスパイスなんかを見ながら、こんなことを言っていた。
「とんかつってとんかつの味がするって食べる前にわかるじゃないですか。それじゃあとんかつなんて食べなくていいですよね」
言い回しは詳しく覚えていないんだけど、確かこんな意味合いのことを喋っていた。
確かにスパイスカレーは味も見た目も具材も香りもとんでもなく多岐に渡る料理だと思う。それは間違いない。でもなぜとんかつを、とんかつを食べることを否定した?なぜとんかつを見下した?なぜとんかつと比べる必要があった?なぜとんかつを?なぜ?とんかつを?
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とんかつを否定されたことばかりに腹が立っていたが、今になって冷静に考えてみるともっと大事なことがあった。
「これ、この味食べたかったんだよ〜!」
高級料亭でも近所の洋食屋でも母の手料理でも良い。この味。食べたことのない料理に胸躍らせるのもいいけど、この味が食べたいんだ。
ところでなかなか味噌汁が母の味にならないんだよね。