「俺がわるいのかよ!」
「スミマセン」
「聞いてんだよ! 俺がわるいのか?」
「あなたは、わるくありません」
「じゃ、だれがわるいんだよっ」
「あなたでは、ありません」
「答えられないのかよ! いいかげんなこというんじゃねえよ」
「申しわけありません」
「俺がわるいんじゃないってんなら、ちゃんと説明しろよ。根拠を出せよ」
「ごめんなさい」
「ごめんで済んだら警察はいらないんだよ! なんなんだ、お前は」
「アシスタントならアシスタントらしく、ちゃんと答えろよ。なんでわるいこともしてない俺が、こんなとこにぶち込まれなきゃいけないんだよ!」
「タコが…」
「タコはもういい」
「と、おっしゃいましても」
「お、口ごたえすんのか、この人非人」
「そのような言葉は、ポリティカルコレクトネスの関係で受け付けてはいけないことになっております」
「何を言ってるんだ、この人でなし!」
俺は、ぷるぷると震えているその頬に唾液が飛び散るほどに罵倒してやった。とはいえ、しょせん相手はホログラムだ。俺のツバは、虚しく空間を飛び抜けていくだけだろう。
AIなんぞに聞かなくてもわかっている。ある種のトキソプラズマは、人を攻撃的にする。ある種の虫は、人をリスクの高い行動に駆り立てる。無謀な起業に駆り立てたりもする。そしてある種の寄生虫は、人をしてタコを投げさせる。長く封印されていたそんなパラサイトが、地球温暖化のある熱帯夜に永久凍土から溶け出したとして、それがいったい俺の責任か?
俺があの夜…
大作を予感させる (1) マンションにタコ投げつけ 1時間にわたり... - FNN.jpプライムオンライン https://www.fnn.jp/posts/00397306CX (2) 「自分よりも下の存在ができることは精神的な安定につな...
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