汚い話だ。
僕は数本の毛が生えたびちくに好かれた。
僕は繊細に数本の毛を狩っていた。
今日はなんか雑に葬りたくなり、シャワーを浴びている時、雑にカミソリをシュッてした。
先っぽから赤い液体がぷくーと溢れてきた。
母乳ってこんな感じなのかなぁ、と思ったが、きっとこんな感じじゃないのだろうなぁ、と思った。
シャワーで流す。ちくっとする。微妙に痛い。ちくっとびみょうにいたい。
突起物から流れ出たのは、血の涙だった。
モテない男(27)の悲壮に満ちた腹を撫でる血の涙がそこに流れた。
エロいかなと思ったら、エロいかなと思おうとすること自体が自分に欲情する行為であることに今の今まで気づかなかった。
そこにはいつもの残念なもちっとした白い肌に絆創膏が貼られてあるだけで、あぁ怪我したんだね自分って感じで残念だった。
つまりは今日この時もただ漫然とした日常を過ごしたわけである。乾いた日々が過ぎていく。
醜悪な腹に映える力強い血の川に何かしらのメタファーを感じとろうとするも、言葉にならず、言葉にできないことが、きっと何者にもなれないという僕をさらに映す。
絆創膏おぱーいによるバブみから精神的なオキシトシンを得ることも叶わなかった。
ちっびくの血と涙と絆創膏乳首から、僕はいったい何を得られなければならなかったのだろうか。
得たくない数本の毛だけが、数日後僕の元にやってくる。