2017-06-05

完成形には爪痕がないことが多い

完成されたものって得てしてつまらなくて、退屈で、起伏がなくて、そう簡単大衆には振り向いてもらえないものが多い気がする。

子が音楽をやっているのだが、あれは音をひとつ出すだけで大変なものなのだな。押せば鳴る楽器なんてものはなく、たとえ電子楽器だとしても自然発声をさせるのは相当な訓練が必要であることを、子の練習を通してやっと実感した。

それがわかったとたん、あらゆる演奏の裏側に積み上げられてきた膨大な時間が見えてきて、今までつまらなくて、退屈で、起伏を感じられなかったクラシック音楽いかに素晴らしいものなのかを知った。

大変さを経験した者にしかからない醍醐味。それは完成されたものへの自然リスペクト部外者には全く見えない小さなさな爪痕から、その背後に隠れた壮大なストーリーを受け取って自然と涙できる。

そして、経験のない者らには、なんの爪痕もないツルッとした完成形に見えてしまう。

素晴らしいものになればなるほど、伝わりづらくなるというジレンマは、どの世界にもあることなのだろうな。

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