線香が大大大嫌いである。
臭いも大嫌いだが、臭いがなかなか取れないことや、煙で部屋が汚れるのも嫌いである。
祖父・祖母の葬儀や法事で家の中が線香の臭いで充満し、息ができず、眠れないこともあった。
初め、母からは理解されなかったが、徐々に受け入れられ、線香は有事の時分のみの使用となった。
そんな私が嫁いだ先は、毎日3度線香をあげる家であった。
勿論、四十九日はとうに過ぎているのだが、なぜか毎日の習慣になっている。
その上、家族の月命日にはお坊さんが来て特別なにおいのする線香をあげてゆく(参加は必須)。
嫁入り当初は本当に耐えられず、居るだけで死ぬような想いをしていたが、
毎日いるうちに服につく匂いもその匂いの中食べるご飯にも慣れてきた。
梅で誤魔化したのできっと大丈夫だろうと、つめた際には安請け合いしたが、
なんとも言えない線香の味が口の中に広がっている。
綾香が嫌いって読めた。 俺の彼女に向かってその言いぐさは許さん、表へでろ
線香が彼女だなんて哀しい