私の両親は仲がとても悪かった。
母にとって、父は敵だった。
母は、私と妹を「自分の味方」=「父の敵」にしたがった。
私たちに父のことを悪く言い続け、結果、妹は父とはもう関わらないと決めた。
私は、父のことも、母のことも、どうしても嫌いになれず、もうずっと苦しいまままだ。
中学校の数学の授業で、『マイナスかけるマイナスはプラス』を『敵の敵は味方』、
『プラスかけるマイナスはマイナス』を『味方の敵は敵』と解説した教師がいた。
私は後者だったのだけど、よく分からない方がずっとしあわせだ。
私が夫とうまくいかないこと話すと、母は「私の時はこうだった」と
父の嫌いだったところ、不仲だった原因を滔々と語ってくれる。
夫とのことで苦しんでいるときに、思い出したくないことを聞かされるのは、つらい。
父の悪口を聞かされるのはつらい。嫌なところもあるけれど、私には大切な父親だ。
私が夫にされた理不尽な仕打ちを話すと、母は「父親がいれば、なめられないのに」と悔しがる。
いいえ、私に父親はいます。あなたに夫はいなくても、私に父親はいます。
親が離婚すると、母親か、父親か、どちらかひとりは消えてしまうのですか。
そんなことないはずだ。母は母だし、父は父だろう。
夫と不仲な私に、自分のもとに帰って来いと母は言う。大切にされているのだと思う。
だけど、私には『味方の敵は敵』と考えることができない。
どちらも選べない私には、結局どこにも居場所がない。