一息つこうとベランダに出て、ふとリンドバーグの夕焼けを口ずさんでいたら、涙ぐんできた
俺にはそんな名残惜しむような人も思い出もないんだけど
むしろなんでないんだろうなって
結構真面目に、頑張ってきたんだけどな
そうしている間にまた新しいミスがどんどん積み上がっていって
若い頃には、これを乗り越えればより良い未来があるんじゃないかという漠然とした希望のようなものもあったけど
この年になるとそんなことはあり得ないんだって現実が立ちはだかってくる
でもやっぱり何もできなくて、今さら定期昇給のあるような仕事には就けなくて
できなくて怒られながら迷惑を掛けながら生きていくか
でもそうまでして生きていく意味が見出せなくて
家に帰り着いたところで尻尾を振る犬さえいない