と思ったことがある人は多いと思う。
「現実逃避」と言われるかもしれないけど、僕のはそうではない、と信じている。
たとえば、あるキャラが別のキャラの頭上にクリームをぶっかける。
しかし次のカットでは何事もなかったかのようにストーリーが進行していく。そんな描写に心をひかれる。
というと、「なにかやってもチャラにできる世界に行きたいんだ」と言われるかもしれないが、そうではない。
一方では人間関係が積み重なっていき、それに従ってキャラの性格も可塑的に変化していく(悪人→善人ではない、もっと微細なレベルでの変化)ものの、他方ではある出来事が徹底的に忘却されていくような世界。
忘却というのはキャラのみならず世界からも忘却されていくような、そんな忘却だ。
もしくは、フィードバックがかかりながら展開していく時間ととぎれとぎれになっている時間がメタレベル抜きで共存する世界とでもいおうか。よく分からんくなってきたが。
ところで、「800歳の大樹はどのように時間を経験しているのだろう……」などと思ったことがある人は多いのではないか。
しかしそこでいわれる別様の時間というは、タイムスパンの長短に焦点があてられていることが多いのではないのだろうか。
そうじゃなくてもっと質的に違う時間と通常の時間が離れながらも共存している、そんな印象を受ける作品に僕は強く胸を打たれる。