怒ると怖いけど、親身に相談に乗ってくれて色々と問題解決の方法なども教えてくれる優しい先輩。
この前の会議。
議題は、商品にゴムを付けるか付けないか、ゴムは何色がいいのか、どれくらいの強度のゴムがいいのかなどだった。
会議が始まって間もなく、その先輩がいつものようにトイレに行ってくると言って席を立った。
すると、恐らくスマホかタブレットの画面のどこかが押されたのだろう。
他社のインタビュー(男女)が流れだした。
音はかなり大きめだ。
「こんにちは」
「こんにちは」
「初めての撮影ですが、気分はどうですか?」
「緊張しています。」
「エッチは好きですか?」
「内緒です。」
「ジュ、、10人位ですね。」
そこで先輩が戻ってきた。
バックから想定外の音がしていることに、普段極めて冷静な先輩もかなりテンパっているようだ。
iPadminiを強制終了させ、
「ごほん」
と咳払いすると、
「再開します。」
とだけ言い放った。
会議終了まで、冷房はかなりガンガンだったが先輩の顔から汗が止まることはなかった。
画面が見えれば、ゴムが必要か必要じゃないかすぐに分かっちゃっただろう。
そこは自ら答えを言わないで俺達に考えさせようとしたんだな。