夕方、常連の喫茶店で本を読んでたら、うしろで怒鳴り声が聞こえた。
しつこく絡む酔っ払いを前に、顔なじみの店員さんを不憫に思ったのと、読書を邪魔されたことに腹が立ったのとで、
余計なお世話と知りつつ、とりあえず間に入ってみた。
なんだこの野郎
やるか、表へ出ろ
年上を敬わんか小僧
小柄な酔っ払いは威勢だけはよかったけど、私の出現に明らかに動揺していた。
私も最初はひるんだけど、すぐに相手が滑稽に思えてきた。
客商売の飲食店、若い女の子、アルバイト、きっとそういった属性の相手にしか威張り散らせない、小物。
無駄に年ばかりとって、酔って惨めな醜態をさらして、この人の人生はなんなんだろう。
相手の言葉に適当に反応しつつ、とりあえず外に出るよう促したら、意外にも素直に店から出て行った。
あんな年寄りにはならないようにしよう、と決心した。