2014-03-03

友達長電話

今まで誰にも話した事はないが、母親キッチンリンカーだった。

夕方になると酒を飲み、一応料理はするものの(というか恐らく作りながら飲んでいたのだと思う)、食事はろくに食べず、かなりダウナーな感じに酔った姿を晒し、夜8時には寝ていた。

そんな感じだったから、父親は夜出掛ける事が多かった。父には浮気相手がいた。

小学校の頃からか、もっとからか、とにかく家族で楽しく夕食を囲んだという記憶はあまりない。

もちろん母親正気で、まともな家庭の食事風景だった記憶も、きちんとあるが。

あれは小学6年生ぐらいだったと思う。

少し離れた地区に住んでいる子と仲良くなった。

の子長電話が好きで、ちょくちょく電話がかかってきた。

自分はその長電話によく付き合った。

子供心にくだらない話だと思いながらも、切る理由が見つからず、ダラダラとよく話を聞いていた。

ある日、いつものように母親はとうに寝ており、父親も出ていた。

多分私はさみしかったのだと思う。その友達に、初めて自分から電話をかけた。

緊張しながら、いつもみたいに楽しく話がしたかった。

けれど、話は全く続かなかった。

自分友達に話したい事があったわけではなく、友達もまた、話したいと思う事がなかったのだと思う。

途切れ途切れに会話して、最後はぎこちなく電話を切った。

たださみしさが残った。苦い思い出だった。

から今でも、用もないのに電話をするのは苦手だ。

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