2014-02-04

とびだそう

その集落では、豊かとは言えないまでも勤勉に暮らせば、喰うに困る事はなかった。今までのところは。

その集落では、しきたりの遵守、年長者への配慮構成員とのさまざまな調整は必要だけれども、うまく役割を分担し、全体としては効率よく運営できていた。今までのところは。

ただ集落は少しづ高齢化子供の数が減ってきた事で、役割の分担に支障が出てきた。ほんの少しづつだけど確実に。

集落生業は一つしかないが、その生業自体陳腐化することで、相対的に富を産まなくなってきた。

集落の維持は必要であり、その生業自体社会には必要なことだけど、集落構成員全員を養え無くなりつつあった。

それでも集落には蓄えがあるので、切り詰めて頑張れば暫くは喰うに困る事はない。

あなたはその集落青年で、これから働き盛りを迎える。

その生業自体は過不足無くこなせるが、もっと他に社会に貢献し富を得る方法もあるかもしれない、そう考える事もある。

そんな折、隣の集落で話を聞く機会があった。

その若い集落は、構成員の人数がとても少なく貧しかったが、新しい商売を思いついたらしく、規模は小さいけれど、急速に成長している分野でもあるので、人出が足りず、当然忙しかった。

経験豊かな構成員が増えればきっと、その商売も成長できる筈なのだけれど、今は貧しい事もありなかなかうまくいっていなかった。

あなたは心動かされるものがあり、できればこの集落に移り住んで手伝いたいと思った。

でも集落を移ることは、数十年前に比べればだいぶマシになったとはいえ、やはり世間の風当たりや様々な不安デメリットもあった。

なにより少し貧しくなる事を覚悟しないといけない。

あなたはどうするべきだろうか。

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