個人的に評価を述べれば、よくまとまっている、が、冒険が欲しかった、という感じであろうか。
TV版もまたよくまとまっていた。だがほころびはあちこちにあった。
今回の劇場版はそのほころびを繕い直し傷を埋め直す作業と言えた。
つまり、TV版のエンディングのままではほむらの心が救われないというほころびを、そのほころびは物語の中でどのような意味を持つのかという形で問いなおすことで、あるいは神(円環の理:まどか)の真の姿を知るただ一人の存在と位置づけることで、ほむらがやり直すためにはまどかとの出会いをやり直すしか無いという形に持っていったわけである。
劇場版のあの終わり方は、5人の魔法少女の物語は終わり、そして再び始まりについたということでもある。
だが、まどかマギカという作品には、もう一つ巨大なほころびがある。
それはインキュベーターという存在そのもの、宇宙を延命させるという彼らの役割は果たしてどのような意味を持つのか、ということである。
感情を持たない存在が感情をエネルギーに変えるシステムを発見したという矛盾、この巨大なほころびは全くノータッチであって、劇場版で何らかのヒントらしきものが得られるかと思ったのだが、唯一、インキュベーターの技術は円環の理をも制御下における可能性を持つということくらいだった。