子供のころ読書感想文が苦手だった。あれって何を書けばよかったのか、いまでもいまいち分からない。
だけど、世の中には読書感想文が大好き! というひとが結構おおいみたいなのだ。簡単なところではamazonのレビューとかニコニコ動画のコメント、ちょっと気合をいれているとブログとかそういうので、読書感想文を書いているひとがいる。
その巷あふれる読書感想文には、その読書感想文への読書感想文が書かれることがある。読書感想文がブログにのっていたら、そのコメントが読書感想文の読書感想文ということ。
読書感想文の読書感想文は、二次創作の二次創作みたいなもので、二次創作の二次創作がどうしよないぐらい二次創作の性質について露骨(欲望の吐露)なように読書感想文の読書感想文は、読書感想文の持つ性質を露骨にしていると思う。
そんな読書感想文の読書感想文から抽出した読書感想文の性質はというと、こんな感じなんじゃないかと思う。
1.賛同する
2.読まずに否定する
3.ほんとうはこうだ! とツッコミを入れる
読書感想文なんて面倒だし、せいぜい書いても「おもしろかった!」ぐらいだよね、と思うものの意外なほどに2.とか3.とかが多くて、読書感想文がみんな好きなんだねえ、と思ったりしつつ、実際のところわざわざ読書感想文を書くわけだから「おもしろかった!」ぐらいじゃ満足が得られないのかもしれない。もっと言葉とか尽くさないと虚しいじゃないか、と。虚しさとそれを埋める自己満足となれば、あの読書感想文のなかにときどき混じっている荒々しさは納得できるんじゃないか、と思う。彼らは虚しいから、強い言葉と語調で相手をなじるのだ。どうでもいいから誰かを殴ったら気分がスカッとして満足を得られるひとがいる。イライラしてとりあえず物に当たれば、溜飲をさげることだけはできる。