そんなたいそうなもんじゃないだろうとも思っていて、
実際に退院してしばらくは何も変わった感じはなかった。
タバコをやめて太ったくらいだ。
僕は変わらずに接しているつもりなのに、僕に対してがすごく攻撃的に感じられる。
てことは仕事ができなくなったのか? と思っていろいろな人に作ったものを見せたけど
それが契機になったのかもしれないが、会社が嫌いになった。
以前は割とふつうに会社に行けていたのに、行くのがすごく辛くなり、
帰りも以前はけっこう残業していたけど、残業が嫌になり、逃げるように帰るようになった。
でも仕事を残すのも嫌なので、日中は徹底的に集中してやった。
1年経ち、なんとなく孤独になった。まあもともと孤独は嫌いなほうではないから、
それは気にならないのだけど、
以前と仕事への接し方や感じ方がいつの間にか変わったことがはっきり分かった。
これが「人生変わるよ」ってことなのか。
生まれ変わったようにすっきりした気持ちで過ごせるのではないか、
という淡い期待があったが、どうやらそういうことではないようだ。
とにかく平日が辛い。特に朝方。嫌な夢をいくつも見る。気分がひたすら重い。
でも少し調べるとこれは典型的な「鬱」の症状らしい。
その後少しして精密検査があって、その結果は再発なく予後は良好のようだった。
それで少し気分は楽になったので、そっち系の病院にはまだ行っていない。
沈んだ気持ちで過ごすことが増えてしまった。
むしろ誰にも接せずに家ですごす方がいい。
とはいえ、僕は仕事をしなければならないし、妻にとっての夫でなければならない。
「ならない」という考えに囚われるのはよくないと書いてあったが、最低ラインはどこにでもある。
そこまで僕の今の状況がどん底なわけではない。
でも僕はまだ妻を愛することができる。
それはいいことだろう。
少なくとも僕は助かったのだ。死んではいないのだ。
デブになったからなんじゃないの?