できたというより作ったという表現の方が的確だろうが、脳内彼氏はかれしなのである。
学校の課題に追われているとき、バイト先で怒られたとき、就活が上手くいかなかったとき、
いつだって私を慰め、叱咤し、そして愛してくれた。
「彼に好かれるように素敵な女性になろう」
こんな妄想は、友達もいない、田舎から上京してきた一人暮らしの喪女の私のささやかな楽しみであった。
しかし、別れは突然やってきた。
「こんなハイスペックな彼氏、私なんかじゃ釣り合わないんじゃないだろうか」
ふと思ったそれで不安は増大する。
「彼に見合うような女性になる」よりも「彼に見合うような女性を妄想する」ことの方がずっと簡単だった。