はてなキーワード: 松尾剛とは
NHKの松尾剛アナが退職するニュースを見た。もう部外者なので彼のエピソードを一つ語りたい。
NHKで働いてた頃、毎週ある番組で本番開始3時間前に番組進行表をスタジオに取りに行くのが仕事の一つだった。
その番組の部外者であった私は当然誰にも人間扱いされないわけで、彼らの目に触れない様に邪魔にならない様に進行表を取るように心がけていた。
ある日いつもの様に進行表を手に取りスタジオから出ようとした時、松尾アナから声をかけられた。
なんか見た事ないやつが進行表を盗んだから、怒って止めようとしたのかと思ったら、
その進行表は最新版ではないので、こっちにある進行表が最新ですよと教えてくれた。
些細な行為かと思われるかもしれないが、何十人もスタジオにいる中で私が何の仕事をしているか知っている人間は0人か1人。
ディレクターかプロデューサーが配属時に引き継ぎで覚えていれば、そいつは優秀だ。
そんな現場でどんなに困った顔をしようが声をかけてくれる人は皆無で、
聞いても無視される、理不尽に怒られるなんて日常茶飯事の階級である。
大体のアナウンサーはというと、台本を読み込んだり、スタッフと談笑したり、誰とは言わないがある人は偉そうにふんぞり返っている人もいる。
そんな中、松尾さんが話しかけてくれたことを何年経っても忘れないでいる。
彼が司会などしている番組を見たことがある人なら分かると思うが
いつも真面目で優しい考えを持った人だ。
ここだけの話、NHKの番組アナウンサーを裏で見ると画面通りの印象を抱くのは2割ぐらい。
あと、あの優しい眼差しが自分の仕事を肯定してくれた様な気がした。
ほんの10秒もない出来事だが、今も優しい記憶として覚えている。
お仕事おつかれさまでした。