サンジャポで太田さんが、歌舞伎の歴史に触れながら、どんな業界であっても社会の価値観とすり合わせて生きていくしかなくなった、その重みは背負っていかなくてはいけない、考えなくてはいけないという話をしていたことに対し、「江戸時代の歌舞伎役者だって当時の社会の価値観とすり合わせてたし、法を破れば罰せられるのは江戸時代も現代も変わらないのではと思いました。」という感想がSNSでポストされていた。ぺらぺらに薄い感想だ。もしかして炎上用着火剤として置いてあったのだろうか。と思いここに書く。
「江戸時代の歌舞伎役者だって当時の社会の価値観とすり合わせてたし」って書いてあるけど、見たんかい、江戸時代の歌舞伎役者。「法を破れば罰せられるのは江戸時代も現代も変わらない」って、そういう一般論の話を太田さんしてないと思うんだけど。
太田さんは昔から活躍してる芸人で、芸人と歌舞伎役者の業界を重ねて見てるんじゃないかと思う。ベテラン芸人って、よく「芸人って社会でまともに生きていけないヤツがなるもの」と言う。でも時代が変わってどの業界も厳しく社会の価値観に合っているか判断されるようになった。業界はその現実を受け入れなくてはいけない。もちろんそれでクリーンな業界になるメリットもある。でも、そもそも、そういう生き方ができない人がなっている、という経緯がある。そして、社会の価値観に合わせられない人の居場所が無くなっていく、という側面もある。
法を破れば罰せられる。確かにこれは大前提だ。しかし、社会の価値観に合わない人が居場所を奪われ、追い詰められて家族を殺し自分も死のうとしてしまった。私たちが目指す世界ってこれでよいのか。その重みを考えた方がいいのではないか。と、言いたいのかなぁと私は思った。