2021-04-02

確率絶滅」についての算数理解の手引き

再生産数Rが0.5にせよ1.5にせよ、感染者数(人間)は自然数をとるのであって、「感染者が(0.5 or 1.5)人いる」という状態は生じない。

たとえばあるウイルスが、1人の感染者が1人に感染させる確率と0人に感染させる確率がそれぞれ50%だとしよう。この場合再生産数R=0.5である

感染者の数が多ければ「50%」の試行回数が多くなるから次世代感染者数は現世代の1/2に近い数になる確率が高い(大数の法則)。R=0.5で現在感染者が10000人いる場合次世代は5000人くらい(Rt=0.5)だろう。

けれど、現在感染者が2人だったら次世代が1人だとは限らない。2名とも感染0人のクジを引けば、次世代感染者は0人(Rt=0)となる。50%*50%=25%の確率でこのウイルス絶滅する。3人なら50%*50%*50%=12.5% (8分の1)の確率絶滅する。これが確率絶滅である

まり簡単算数理解では、《 絶滅確率 = 1人の感染者が誰にも感染させない確率現在感染者数 》となる。

 

これはR=1.5の場合でも同様で、たとえばあるウイルスが、1人の感染者が25%の確率で0〜3人に感染させるとすると、R>1つまり増加傾向のウイルスでありながら、現在感染者が1人なら25%の確率絶滅する。

 

また、これまでの例は確率分布を一様にしているが、「多くの人は他人感染させないが少数の人がたくさん感染させる(スーパースプレッダー)」という場合もある。

たとえばR=1.5であるが、4人のうち3人は誰にも感染させず1人が6人に感染させるとする。つまり、75%の可能性で0人に感染させ、25%の可能性で6人に感染させる。

この場合現在感染者が2名だとして、2名とも0人のクジ(75%)を引けば次世代感染者は0になる。絶滅確率は75%*75%=56.25% (16分の9)である

 

確率絶滅がなぜ重要か。

集団内の感染者が0名であれば、その集団内ではどれだけ接触しても感染しないので、そのウイルスに対する感染対策不要になる(院内感染鎮圧はこれを目指す)。外部から流入にだけ気をつければ良い。

よくいわれるように、エボラウイルス地球から絶滅していないが、日本国内ではエボラ対策無しに生活できる。日本国という集団内ではエボラウイルス絶滅しているからだ。(もしかすると「絶滅」という言葉が強すぎるのかもしれない。「お家断絶」の方がイメージが近いかもしれない。)

大数の法則により、確率絶滅は、感染者数が極めて少数のときしか期待できない。

世代感染者数を100〜1000程度の波で上下させる施策(少ないロックダウンを長く)と、50〜100程度にする施策(短いロックダウンを多く)とでは通算ロックダウン期間は変わらないが、1〜10程度にする施策であれば、確率絶滅によって、対策せずとも増えない期間が生じるため、通算ロックダウン期間も短くなる。(ここでの数字あくまイメージ的なもの

から確率絶滅を目指すかどうかは、対策の一つの大きな分かれ目になる。(現在感染者数が多く、1回のロックダウンでは効果持続期間が足りず(自粛疲れ)確率絶滅を達成できない場合も、ロックダウンを何回かに分けて感染者を徐々に減らすことで、確率絶滅を目指すことができる。)

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