令和ではもう存在しないと思うけど、7・8年前に2回ほど現金で給与を配ったことを思い出した。
当時いた会社はそれはそれは大きくて多方面に支社や関連施設があった。支社一つで田舎だったらその地域一帯の雇用や経済に大きく影響するほど。
俺はその一支社の会計部署にいた。支社といっても敷地面積はだだっ広い上にいくつもの部署が混在している。
そしてある日、同じ敷地内に別の部署のトップが「新人に給与のありがたみを知って貰えるように初任給を現金配布したい」と言い出したらしい。
当然うちの部署は大騒ぎだった。2010年代に口座振込以外の給与配布なんて完全なるレガシーで、コンバインやドローンのある時代に農家が千歯扱きをいれるようなものだ。
尤も、法的には現金配布が基本で口座振込が例外に近いため、断る理由がない。
問題は人数と金額。地方支社のたった一つの部署の案件ではあるモノの、抱えている新人職員が多いことで知られている。詳細を伝えられないがアタッシュケースがいくつかと警備員が必要な量だ。地方の銀行にとってもいきなり用意できる現金ではない。
封筒や紙の明細書も人数分を用意しなければいけない。部署のトップが直接新人に手渡しで配布する(!)ということなので、そのための場所を確保してもらい、そこに現金と封筒を持ち込んで人海戦術で封詰めする必要がある。1円でも狂ってはいけない。金種があわなくても問題だ。
結論をいえば問題なく配布はできた。金種の事故もなく紛失等もない。
なんなら翌年も同じことをしたし。
正直もうあんなことはしたくない。あのときは一部署だけの話だったけど、あれが支社全体、会社全体、日本全体で行っていた時代があったのが信じられない。
現金を直に取り扱うことに抵抗がなくて、集計・運搬・配布に時間と金と人員を割ける時代でなければ不可能だったんだろうな。といっても、銀行振込が一般化したのはそういうことがとてつもなく大変だったからなのは想像に難くない。
は~ これも「雇用の創出」になってたんですかねぇ。豊かすぎる笑