アニメ版けいおん!元ネタになった(と僕は思っている)「青春デンデケデケデケ」はやはり日常系萌え作品と通じるところがあって、
その「青春〜」は出版社や東映から「男子高校生がじゃれ合うだけの作品が売れるもんか、ヒロインを出せ。登場人物の誰か性別変えろ」と横やりが入ったんだけど、
原作者の芦原すなおや映画版監督の大林宣彦はそれを無視して「男子がバンド組んで高校生活を楽しく過ごすだけの作品」に仕上げた。
よって「青春デンデケデケデケ」は何も考えずに仲間とつるむだけの日々の尊さを描き出した名作になったわけだけど、
日常系萌えも根底にあるのは特に目的もなく日々が浪費されるモラトリアムの賛歌だと思う。
その楽しく空虚なモラトリアムは、将来の進路や恋愛事情というシリアスな問題を前にするとたちまち崩壊していく。
「青春デンデケデケデケ」にしたって「けいおん!」にしたって高3の文化祭をピークにして、以降は高校生活の終焉に対するノスタルジーや将来の不安にフォーカスを当てている。
日常系萌えは恋愛に無頓着なのではなくて恋愛といった題材を排斥することで、なんとか脆く歪な青春のモラトリアムを表現しているんじゃないかと僕は思う。
でも「青春〜」やけいおんの登場人物は奔放で、しれっと異性への興味を口に出したりはしているんだよな。