性の喜びおじさんが亡くなったという噂が飛んでいる。
どうか嘘であって欲しいと思う。
ネット上には、彼は精神に疾患があり、これ以上触れるべきではないという意見がある。
その通りだと思う。
だけど俺は、それでも彼について語らなければならない。
俺はもう三十も後半だが、二十代の頃、女とうまく恋愛することができず、不遇な時代を過ごした。
それでこの歳になって死ぬほど後悔して、なんとかして失われた青春を取り戻そうとして、いまさらならながら若い女に対して恋活している。婚活ですらない。
痛いだろう。でも、だからこそ、そんな自分にとって、性の喜びおじさんは、自分自身の代弁者のような存在だったのだ。
彼の、若いカップルに対する怨嗟、青春を諦めきれずに、ひと回りもふた回りも若い女を求めて、おっさんなりに精一杯オシャレをして渋谷でナンパする姿。
だから、彼が彼のファンという若い女に告白されていたときは、それがどれだけ本気だったか分からないが、すごく嬉しかった。なんでか彼は断っていたが。
彼を他人事とは思えない。
だから彼には生きていて幸せを掴んで欲しいし、もし万が一、亡くなったというニュースが本当だったときには、イケメンの高校生にでも生まれ変わって精一杯青春を謳歌して欲しい。今はそれだけが願いだ。