『ブラックジャックによろしく』の真ん中あたりに、避妊治療してやっと子供が生まれたけど、障害があることが分かって、子供の命に関わる手術に同意しない夫(と嫁)の話が出てくる。
これだけ読むと「ひでえ親だ」と思うかもしれないけど、その夫婦本当に苦しめられてんだ。
夫のほうは不妊治療のたびに病院のトイレでシコる、心から愛していて、子供ほしがってる嫁に自分のせいで子供作れない(夫は精子の少ない病気)、親戚には「種が悪いか畑が悪いか、俺に一発ヤラせろよ」とか心ないこと言われる。
嫁のほうは周りのママさん連中に「子供がいないと家具も傷まないし、羨ましいわー」とか面と向かって言われるし、親戚には「昔は子供ができない嫁は追い出されたもんよ」とか影で言われてる。出したいとも思わない母乳がどんどん出て、「体までも母親になれと迫る」と主人公(研修医)に悲痛に訴える。
「俺たちは不完全な人間なのか」って夫のセリフが響いた。他人事に思えなかったのは、自分もそう思ったことがあるから。
自分の場合は恋人ができないんじゃないかって不安だから、不妊治療とは比べ物にならない。でも逆に、わかりやすい問題ではないからこそ、相談もおいそれとできないし、頼りにできる人も本もない。世間の人が知らないことを自分が持っていて、周りの誰もそのことを知らないのが怖い。普通でないことは、人に理解してもらえないことでもある。普通ならどれだけよかったかいつも考える。
子供が非常に出来にくい状態に「不妊」っていう名前がついていて、不妊の人はとても苦労している、ということを世間がぼんやりとでも知っていることが羨ましくもある。それほどまでに、誰も知らないということは恐ろしいし辛い。
本当にこっちが悲しくなっちゃうくらいの人もいるんだろうけど こういうこと考えてる人の大体は、 まるで自転車乗る練習してて膝擦りむいただけなのに 「こんな思いしてまで自転車...