2015-08-10

ゆとり再就職試験

いつもと別のゆとりの話。


入社早々、5月ぐらいに公務員の父親を通じて、

新人に与える仕事の業務が多すぎる、労働基準法がどうのこうの

労働基準局にどうのこうのとしつこく言ってくるゆとりがいた。


「ほんじゃ、労働基準局でもなんでもたれこんでもらってくださいな」と

上司がキレたところ、ゆとり会社を去ったかわりに労基がやってきた。

はいなくなったが、おかげ会社が少しホワイトになった。

しばらくの間はみんなで彼の功績を讃えていた。


そのゆとりが6月頃になって「あらためて増田さんのところで働きたい」

とお願いをしてきた。もちろん父親を通じて。


「いや、社風があうところで活躍したほうがええよ、うちでは才能を活かせきれない」と言っても

「ボクの活躍する場所はここです」とおっしゃる


あんまりからまれても時間もったいないので、

「ほんじゃ、がんばりを目に見える形で持ってきてよ、

無理でしょ?そういうことだから」と断った。


それから、2ヵ月がたって奴の存在をわすれかけていた今月頭、

「がんばりを見せに来ましたよ」と突然奴がやってきた。

父親ではなく、何故か同時期にやめた別のゆとりと連れ立って2人で。

ゆとりは黒いドキュメントケースを持っていた。

まーた、企画書とか事業計画書の類だなと、すぐに分かった。


見る時間もったいないので、

アポとってきてからまた来て」と追い払うと

「見てもらうまで帰りません」と叫び始めた。

「大声出すなよ」

「見てくれないから大声を出します」

まりにも必死にいうので、少し折れた。



「何を見せてくれるの?」と聞くと。

「これを見てくださいっ!」

そういうと、奴はドキュメントケースの中から小さいキャンバスを取り出した。

それは、油絵の具で描かれたゆとり自画像だった。



「は?何これ?」

油絵です。一生懸命、描きました。」

『彼の熱意を受け取ってください!』

同伴のゆとり必死の形相で懇願してくる。


意味わかんないんだけど、何?」

自画像です。がんばって描きました。」

ゆとりは泣きながら繰り返した。


ちょっと悩んで、「自画像が全く似ていない」という理由でお帰りいただいた。

最後は同伴ゆとりも泣いていた。

ふと気がつくと私も泣いていた。

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