その理由が分かった気がする。
彼らは傲慢であったり怠け者であったりするためにお役所仕事なわけではない。
公的機関が行う仕事の性質上、お役所仕事にならざるを得ないのだ。
誰に対しても同様の適正な手続がとられないと他の利用者との公平性を損なうし、
それによって損害が生じでもすれば、公的機関自身がその賠償責任を負うことになりかねないからだ。
その全ての手続をひとまず適正と言えるレベルで処理することができるのは、
個々の手続の背後にある趣旨まで理解している、相当高度な能力を備えた一部の人材に限られる。
そうすると、こうした能力を備えない大多数の人材が手続の適正を確保するためには、
自分が適正に処理することが可能な担当部署の仕事のみを取り扱い、
それ以外の仕事はその担当者に任せる(たらい回し)ということにならざるを得ない。
ある形式違背について無視することの許される些細なミスであるかどうかを判断することは、
あまりにリスクが高く、どのような違背であっても一律に修正を要求する(機械的対応)、
ということにもなりやすい。
こうした理由から、公的機関の対応はお役所仕事と呼ばれるようなものになりがちなのだ。