2008-07-25

はてな今昔物語モトマスダ

ある日、村人がまたぞろ増田山からエントリを拾ってきた。

アニオタが非オタの彼女にアニメ世界を軽く紹介するための10本」と題されたそのエントリからはとても香ばしい童貞臭が放たれていて、集まった村人たちは自分たちが若かった頃の少し苦い思い出を思い浮かべたりしながら口々に「俺はこのアニメおすすめ」「こんな女いねーよ」「私女だけどこれはないと思う」など、早くも井戸端会議に花を咲かせていた。先走った若者が書き捨てていった浮ついたエントリを囲んで村人たちが談笑する光景は、なんでもない村の日常の一コマとして過ぎ去っていくかに見えた。

「・・・そのコミュニケーションテスト意図なんですよ。」

「・・・目指せ淀長さん!という気概で。」

最初に気づいたのは誰だったのだろうか。始めは幻聴のように思われたが、なにやらエントリから声が聞こえる。しかもその声は村人たちのコメントに逐一反応しているではないか!

村の長老たちは戦慄した。

そもそも増田山から拾われるエントリに魂は宿っていないというのが定説だ。村人の声に反応したかのようにエントリが変化して数行の補足が書き加えられていることはたまにあるが、村人が発言するたびに逐一反応してみせる増田エントリなど聞いたことがない。死体が動き回っているかのような禁忌の念。しかもこのエントリの内容は、一部の長老にしてみれば痛々しい自分の過去と重なりすぎていてネタ扱いしなければ読むに耐えないような代物だ。

長老たちの対応は素早かった。短い会議の末に長老たちは声明を発表した。これは妖怪モトマスダの仕業である。妖怪人間とは相容れない存在なのだ、だから打ち倒されなければならぬ。

かくして村の方針は決まり、村長モトマスダを敵性と判断する旨を村全体に通知した。同時に長老に近い職工たちの組合へ通達が送られ、対モトマスダ兵器の大量生産が開始された。モトマスダ打倒の目的に限っては、普段は避けるよう指導される「オタ」という言葉罵倒語としての使用すら許可された。

モトマスダ兵器として作成されたのは、大量の改変エントリであった。改変は古くからある兵器で、元ネタへの注目を集め、その奇異なところを強調するには最適であるとされる。

大量生産された改変エントリは、瞬く間に絶大な効果を発揮した。村の運営に関わらない下々の村民ですらモトマスダを忌むべき存在として認識するようになったし、村の運営に興味を示さないが高い生産能力を示す職能集団(これはさらにギークやファックといった組合にわかれている)までも改変エントリ作成競争へ巻き込むことに成功したのである。

かくしてモトマスダは完膚無きまでに叩き潰された。断末魔悲鳴とともに「アニオタ非オタ彼女(ry元増田によるまとめ」と題したエントリを吐きだしたように見えたが、誰も見向きはしなかった。村民は改変エントリ生産と消費に夢中であった。この熱狂はその後数日間続いた。

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