■麦との価値観が合わない。
播種するまでは散々麦のわがままに付き合ってあげた。
種まきは冬至に、高級肥料店でハリーウィンストンの種袋を渡し、最高級の土壌に一晩寝かせたいという麦の希望をすべて叶えてあげた。農協に借金までして叶えてあげた。
発芽式は温室で挙行した。
僕は畑で他の作物も招待した発芽式を挙げたかったが、麦はあまり他の植物と仲良くないようで、温室で家族(同じイネ科)のみの発芽式をしたいと言って聞かなかった。
肥料にお金を払い続けるのは馬鹿馬鹿しいので、この夏に自動灌漑システムも購入した。
生育の儀式関連を概ね終えて、いい加減根を据えて養分をためていこうと思い、まずは共有の土壌にお互いの栄養をまとめようと言ったら拒否された。麦と僕の栄養量が不均衡だから、不公平だと。僕の栄養が麦に比べて少ないのは前述した麦の願いを叶えるために散々与えたせいだ。
それなのに播種時代の栄養は別々がいい!と。これは私が自由に使う養分だ、と言って前も高級な農薬20万円くらいするのを何の相談もなく買おうとしていて喧嘩になった。
もう発芽して、僕という農夫がいるのに高級な農薬やら化学肥料で着飾る必要はないんじゃないか?もう少し地に根を張ったお金の使い方をしてほしいと伝えたが、播種前と態度が違う、後出しジャンケンだ、モラハラだ!と一方的にキレて麦の元の圃場(電車で20分ほど)へ避難して行った。
本当に話し合いが出来ない雑草で辛い。