2024-07-11

  民法第1条3項は有名な規定で、 権利濫用はこれを許さない、と書いているが、判例で、この規定民法全体に射程範囲が及ぶとされ、いわば、天から降って来た技術規定である

  解されている。たとえば、令和6年7月3日最高裁法廷判決において、 民法724条後段の20年は除斥期間であるが、旧優生保護法規定による除斥期間による権利消滅を主張

  することは、あまりにも正義衡平の理念に反するとして、民法1条3項により、権利濫用として許されないとされた。平成元年12月21日の最高裁第一法廷判決では、当事者が、この趣旨

  主張していたが、当時の最高裁は、 民法724条後段の20年は除斥期間であるから一律の適用すべきであるとして、権利濫用法理は、「主張自体失当」であるとした。しかし、今回の

  最高裁法廷判決は、除斥期間の主張も権利濫用になりうるとして、平成元年当事者の主張を実質的に認めたという意味で、民法1条3項が、民法724条後段の除斥期間の主張にも

  及ぶという華々しい構成となった。

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