「スマートホーンがほしい」と彼は言った。スマートホーンとは人類の叡智のすべてをそこに集約した天を貫くツノのことだ。スマートホーンがあれば世界を征服することもできるし好きな子のパンツを覗いちゃうこともできるし排泄機能を喪失することだってできる。「あんなもの、お前には1000年早い」と私は言った。「いいかい、スマホに頼りきりになると人間は人間じゃなくなるんだ。無限の力の裏には潜在的な危険性が孕んでいて、いつか必ずとりかえしのつかないことになる。みたまえ。これが私の肛門だよ」私は頭のてっぺんにあるくぼみを彼に見せた。「私はうんこという存在を憎んでいた。ゆえに私は排便を二度としたくないと神に誓った。神は私の願いを受け入れたかように見えた。けれど実際は、次の日からお尻の代わりにこの穴から出てくるようになっただけだった。信じられるか?頭のてっぺんからうんこやおならが吹くんだ。まるでクジラの潮吹きみたいだけど、いくらクジラでもうんこは吹き上げない」私が言い終わると、彼はかなしそうな顔をした。