2023-12-03

ユニコーン解体

友達ユニコーン解体業をしているらしい。仕事の内容は運ばれてきたユニコーン遺体を臓器と血に分けるだけ。ユニコーンは真っ黒な布で覆われており、本当の姿は誰も知らないそうだ。血の色を聞いてみたら苦笑いをして「お前が想像する夜の色だよ」と言った

以下は友人の話を元に作った歌である

朝に出た月と今日一日がんばらない

約束をしてしまうのだ

布越しにそっと触れれば

買いたての冷蔵庫開く様な冷たさ


根元からツノ折られており

これはたぶん「やさしいこ」だろう


これはサナ これはパドル これはタイミナ

夢の中の臓器にきちんと名あり


弁当生姜焼きの肉さえも

君たちと思い噛めば ゆるやかに甘し

コーラではないからね」と瓶手に

けらけらと笑う 歳上のじじい

|黯《くら》き血に星々は瞬かぬ事実

この胸をいぢめてやがる

薄い壁隔て一日中坊主

ユニコーン意味もない説法をす

「たくさん殺すぞ」と記せし手帳

川面に叩きつけた帰路 満月

虹のにおい こびりつく日給で

鮮やかな金平糖 一つかみ買う

夢がない大人と思わんでくれ

夢を崩しているだけだから

なぜ生きる夢がある夢が死ぬ

ユニコーン死ぬこの世いっぱいのなぜ

空にただ祈らむ友の

頼りなき背に 透明なつばさ下さい

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