生きているだけで人間は金が消えていく
家賃4万円、電気ガス水道通信費2万円、食費4万計14万円が俺の1ヵ月の、「健康で文化的な生活」を送れる最低限の値段。
俺の1ヵ月の人生の値段だ。
以前は貯金が50万あった。でも惚れた女を追いかけていたらほとんど消えた。
消えた、というより、背水の陣を敷いた。
それまで月10万でライターをやっていた。でもライターの仕事に飽きていた。
だから刺激を求めて女を追いかけた。ライターの仕事も切りまくった。
女と別れた後、月10万ライターで稼ぐのは難しいことに今になって気付いた。1からまたやり直すのはずいぶん時間がかかる。
生きているだけで人は金を失う。
3か月ニートをしていたら、少なかった貯金も消えて、ついに借金10万円をしてしまった。
もうなにもしたくない。何をしたいかもわからない。消費の奴隷にも、大衆の奴隷にもなりたくない。
生きているだけで人間は死んでいく。
思えば昔から、宿題も勉強も手遅れになってからするタイプだった。
最低限のやる気が欲しい。気力が欲しい。もう何もしたくない。