2021-12-03

内開きの扉

分かってもらえない、気づいてもらえない、言葉を尽くして話したところで理解してもらえないだろう、期待を込めて必死の思いで打ち明けたのに伝わらなくて失望するのはもうごめんだと思っていた。周りに迷惑がかかると、黙って笑って機嫌よく過ごそうとした。そうすべきだと思っていた。なのに、周囲の無理解に対して、心の奥底で常に激しく怒り猛っていた。

周りのせいだと思い込んでいたけれど、それは私のせいだったのかもしれない。

汚い部分を隠して、ないことにして、気づかないふりをして、そんなふうにしなければ愛されないと無意識に思っていたのかもしれない。

けれど、疲れきっていたとき、理性のブレーキをかけることができず、最も悪い形で、絶対口にしたくなかったことを醜くさらけ出すようにぶちまけてしまったとき感じたのは、案外みんな許してくれるし、それから、何より、思っていたよりもずっと、長い間私は愛され続けていたのかもしれないということ。

勝つこと、正しいこと、よりよいこと。

そんなことは関係なく受け入れてもらえるのかもしれない、むしろ、もしかしたら、ずっと受け入れてもらえていたのかもしれない、私が気づかず、見過ごしていただけで。

私は愚かで、みんなが自然にできることができない。

誰かの一挙一動を頭の中でこねくり回して、ああでもない、こうでもないと一人相撲を取っていたのかもしれない。

愛されていることを感じる、人の行いや言動表現されたとおり受け止める、なぜこんな簡単なことができなかったのかと自分愕然としつつ、静かに待っていてくれたのかもしれないと周囲に感謝したりしている。

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