猫は 4 歳と少しで腎不全を患い、もう、腎臓の 25%しか残ってない。
猫自身は今のところ何にも不調を感じていないようで、元気そのものだ。
もう二度と、リンがたっぷり入ったちゅ〜るを食べられなくなったことには気づいていない。
最後は本当に辛そうだった。
顔を床に近づける屈んだ態勢が取りづらくなり、目一杯の水を張った水差しからなら水が飲める、と人間が気づくまでにずいぶんと時間がかかった。
あの頃はまだ会社がまだリモートワークではなく、親がどうしても一週間、家を空けるというので実家から通勤していた。
朝に出て、夜に戻るまでの間に、誰もいない部屋の隅で苦しんでいるんじゃないか、もう息絶えてるんじゃないかと気が気ではなかった。
定位置の猫ベッドで、何ごともなかったように佇む姿を見つけると号泣した。
日が経つにつれ免疫が限界まで落ち込み、口の中の傷が治らず血だらけになった。
それでも懸命に水を飲み、生きようとしていた。
両親が帰ってくるまで待っていた健気な猫。
今の猫も、数年後に同じことを経験しなければいけないと思うと、お腹の奥がキュっとする。