私はバイクで北海道を巡っていた。転職が決まり、余暇の消費をしていた。北海道来るのは7年ぶりぐらいだろうか。
神威岬の駐車場で出会ったバイク乗りの男性は「自分探しの旅をしている」と言った。定年退職して20年ぶりに北海道に来ているとのことだった。
私は内心「いい年の男が何を一昔前のOLみたいなことを言っているんだ」と呆れのような、半分ばかした気持ちにもなったが、互いの安全を祈願して男性と別れた。
毎日何百キロと移動を繰り返すと、疲れた脳は勝手に7年前の記憶を掘り起こしてきた。
この道を走ったときはひどい雨だったこと。あの食堂で飯を食べたこと。泊まった宿や
出会った人。
すぐ目の前に、過去の自分がいる感覚。輝かしくて、今の私には取り戻せないものを持っていた自分。私は変わったと思うし、それでも7年間で何が変わったのだろうか、とも自問する。
色々なことを思い出しては考えて、そして最後にニヤリと笑った。