中坊の時に洒落怖(2chのオカ板に寄せられたインターネット怪談)にドハマりして、夏休みの間狂ったようにバックナンバーを読み漁っていた時期がある。その頃にはオカ板はもう全盛期を過ぎていて、今でも名作として語り継がれているような話はなんでも閲覧出来た。
その年の夏、東北に家族旅行に行くことになった。具体的な行先はどこかというと、岩手県の遠野。ちょっと怖い民話も沢山残ってるし、怪談にハマっていた俺にとっては鬼門みたいなイメージのある地域だった。
泊まったのは、駅と合体してるタイプのホテル。俺の家族は俺と両親の3人家族で、俺を挟んで川の字に並べられたベッドで寝ることになった。
その夜、俺は金縛りで目が覚めた。隣で寝ていたはずの母親もなぜか起きていて、目をかっぴらいてこっちを見ている。只事では無い雰囲気が漂っていた。
その時、部屋付きの浴室から妙な物音がした。
………キャハッ ハハハハハ キャッキャッ
甲高い女の子の笑い声だ。俺はゾッとして、思わず母の方を見た。声をかけようとする。母も同時に口を開いた。
「「この部屋、なんかいる」」
ハモったところで、二重に目が覚める感覚がして、俺は正気に返った。目の前の母親は普通にいびきをかいて寝ていた。
あれは夢だったんだろうか。怖い話を読みすぎて、記憶の整理とやらまでホラー風味になってしまったのかもしれない。